ミャンマー不動産、復調の兆し

4、5年前、外資系企業がヤンゴンでオフィスビルを構えられるのは「さくらタワー」ただ1か所であった。当時はテイン・セイン大統領による経済・政治改革後の激動の時期で、ミャンマーの見通しも明るいとされていた。さくらタワーの賃貸料も、1平方メートル当たり110ドル(約12,000円)とマンハッタン並みのレベルに達していた。しかしながら現在の賃貸料は35ドル程度にまで下落している。

ヤンゴンの平均オフィス賃料は過去2年間で25〜30%下がっている。その要因は様々であり、軍のロヒンギャに対する厳しい弾圧に限ったことではない。数年前のミャンマー(特にヤンゴン)の地価は、想像を超えるほど高額になった。軍事政権とつながりのあった富裕層が、ヤンゴン市内の不動産にこぞって投資を行ったためである。その当時と比べると、現在の不動産価格は35%下落している。2011〜2014年の不動産価格の上昇は、海外直接投資や海外の富裕層が増えたことが主な要因と言われている。

海外直接投資は過去2年間で少しずつ減少しており、2015年に95億ドル(約1兆円)であった投資額は、2017年には57億ドルにとどまった。中国、香港、日本、シンガポール、韓国、タイからの投資が多く、アメリカやヨーロッパからの投資はほとんど見られない。アウンサンスーチー率いる国民民主連盟(NLD)下でも、GDPが7%から5.9%に減少するなど、ミャンマー経済は低迷を続けている。

前の軍事政権がインフラを引き起こしたことから、NLDは慎重な経済政策を続けている。ここ数ヶ月でチャット(ミャンマーの通貨)は落ち着きを取り戻し、インフレ率も4〜5%で推移しているものの、いまだ経済や雇用は低成長の状況が続いている。一方、経済はスタンプ気味であるが、ダウンタウンのオフィスビルでは賃貸入居が増えているという。しかしこれは以前からの借り手が新しい物件を求めているに過ぎなず、。ミャンマーの不動産市場においては、新規の顧客は非常に少ない。

2017年2月には、長年保留となっていた開発プロジェクトが、ヤンゴン市開発委員会によって承認された。ペニンシュラ・ヤンゴン・ホテルや、オフィスタワー、ショッピングモールやマンションが開発される予定である。またヤンゴン・セントラル駅周辺でも別の大型プロジェクトが進められている。これらの新規プロジェクトビルにテナントを確実にと入居させることが、今後の課題となるであろう。

参照:Myanmar property falls back to earth

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