中国人富裕層の香港離れが加速、脱税防止制度の影響大

写真:©Adobe Stock
世界コンサルタント大手のキャップジェミニの統計によると、中国人富裕層は香港からシンガポールへ投資先をシフトしているそうだ。
香港政府が、脱税や租税回避の行為防止として「共通報告基準(CRS)」国際制度に加盟したことに起因しており、香港の金融機関が中国当局に利用者の口座情報を提供する義務があるからだとブルームバーグが伝えた。

キャップジェミニによると、中国では1000万元(約1億6600万円)以上の投資可能資産を保有する富裕層は全体で、約5兆8000億ドル(約641兆円)の資産を持っている。そのうちの約半分はすでに海外に流出している。経済協力開発機構が2014年に「CRS制度」を含む「課税における自動的な情報交換に関する基準」を公表した。現在、中国当局も含めて世界75カ国が「CRS制度」の適応国となっており、各国の金融機関は口座保有者の居住国を特定し、各金融機関の所在地国の税務当局に報告するのが義務付けられている。また、各国の税務当局は収集した情報をその口座保有者の出身国の税務当局と自動的に情報交換を行うこととなる。

中国人富裕層は資本流出の引き締めを強めている中国当局が、この制度が適用されている香港の金融機関から資産情報が報告されることに対する不安から、投資先を香港からCRS制度に加入していないシンガポールに移す中国人富裕層が増えているという。ブルームバーグによると、香港金融機関関係者は、ネット技術の発達で中国当局はより速く顧客の資産情報を把握できると指摘している。

参照:Bloomberg

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