日本では「不動産を買うのは東京五輪が終わってから」と考える人が多いですが、アジアの富裕層は違う。アジアで増え続ける中間層や富裕層は日本の不動産を虎視眈々と狙っているのだ。それは、今後オリンピックに向けてリニアや東京周辺の駅の大型開発が目白押しあり、さらに、他国ではオリンピック後に外国人観光客が増える傾向にあり、開発が続いて東京の魅力が高まり、五輪後に訪日外国人が増えれば、投資意欲も高まると考えられているからだ。オリンピックが終わっても、特に一等地はすぐに安くなるとは考えにくい。そのため彼らは、価格が多少でも安くなろうものならすぐさま投資をしようと考えているのです。
「東京で4%利回りの不動産探しているんだけど」。最近、富裕層からよく聞くセリフだそうだ。実際に、シンガポールのホテルで開催した不動産投資セミナーに、ウォークインで来たお客さんが、その場で現金購入を決めたケースがあるという。その時シンガポーリアンが買った物件は田園調布のリノベ物件で、写真をひと目見て気に入り、2000万円程度の物件の購入を即決したとのことだ。
特にシンガポールのお金持ちはこのように日本の不動産に投資をしている。それは、1つは彼らの多くが自国の高度経済成長期に不動産で財を築いてきたという成功体験があるからだ。シンガポールに20年以上住んでいる日本人の金融関係者によると、「1ヶ月など短期間に数千万円含み益が出た時代もあって、同僚と一緒に不動産投資に熱中した」という時期もあったという。
シンガポールで一代にして富裕層にのし上がった層の多くは不動産を何回も転がしてきた人達が多い。自国だけではなく、オーストラリア、イギリスなど不動産市場が整備され、投資をしやすい海外に目を向けている人たちも多く、海外の不動産投資に慣れている。そのため、物件を見ずに決めることもよくあるようだ。「現物」を見ないで買うというのは自動車も同じだ。
では、本当に東京の不動産は「儲かる」のだろうか? 実際に、アジアの表面賃貸利回り(global property guide)のランキングを見ると、1位インドネシア(7.40%)、2位フィリピン(6.13%)、3位カンボジア(5.33%)、4位タイ(5.13%)、5位マレーシア(3.72%)、6位日本(2.66%)、7位シンガポール(2.54%)、8位香港(2.35%)、9位中国(2.10%)、10位台湾(2.06%)の順になっている。
Asia: Gross rental yields (%)
このように、日本の不動産は先進アジアの中では利回りがよく、「東京で利回り4%」と聞くと、旨みを感じるようで、日本人の富裕層の他にも、シンガポーリアンなど外国人富裕層からの人気が高い。
台湾、シンガポール、香港など成熟しきり、割高感があるアジア市場と比べると日本の不動産の利回りはリスク対リターンが良く映るようだ。更に少額から投資ができるという利点も大きい。都心のワンルームマンションは3000万円前後からあり、シティエリアのファミリータイプだと2億円前後するシンガポールの不動産と比べると気軽に手を出しやすいのだ。シンガポールではワンルームマンションのような小ぶりで安い金額の不動産を探すのが至難の業だ。また、シンガポールの国土の大半は国有地であり、物件の所有権もほとんどが99年などの定期借地権となっているが、日本の不動産の多くは外国人であっても永久所有権の物件を購入することができることが魅力が高いようだ。
また、オークションハウス、クリスティーズの日本の不動産部門であるJCRクリスティーズによると、フォーシーズンズホテルレジデンス京都は高額で取引をされているという。シンガポールには数多くのホテルレジデンスがありますが、日本では代表的なものはニセコや京都など限られているからだろう。
PwC調査レポート「2050年の世界」によると、2042年までに世界経済の規模は倍増し、PPP(購買力平価)ベースのGDP順位を見ると、2050年には1位中国、2位インド、3位米国、4位インドネシア、5位ブラジル、6位ロシア、7位メキシコ、8位日本と、新興国が上位に食い込んで先進国の順位が後退していくという予測がある。
オリンピック後に増える外国人は果たして観光客なのか、それとも東京に住む富裕層なのか? 後者である可能性を考えると、東京における富裕層ビジネスの可能性はとてつもなく大きいといえるだろう。
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