2016年5月、クレディスイスのウェルスマネジメント部門がタイの富裕層向けの人員拡大を発表した。
見過ごされやすいがタイの富裕層マーケットはこれから花盛りになると思われる。
本誌が指摘したいのは次の点だ。
1:周辺国の富裕層が成功する要素
タイはご存じの通り東のミャンマー、西のカンボジアに挟まれた地域だが、この二か国は少し前まではいわゆる内戦のが吹き荒れていた。
なんらかの形で国外に脱出できた両国の富裕層は命からがらタイにたどり着いている。
そしてタイのネットワークを頼り、大きなビジネスを開花させ、タイに国籍を移すあるいは自国とのデュアルライフの形をとりながら形成されてきた富裕層マーケットがある。
タイそのものも今でも軍事関連の職に就いている方々がキャッシュリッチであることは否めない事実だと思うが、いやいや、ビジネスの成功者も意外といるものだ。
結局のところ政局の安定感が彼らに富をもたらしたのであり、日本の戦後の富の形成にも意味的に通じるところがある。
安定感のある社会は富の大原則であることはどこでも同じようだ。
何人かに話を聞くと、タイはとてもビジネスフレンドリーなのだそう。
ミャンマーやカンボジアにももちろん富裕層はいるが、内戦の傷はいかんともしがたい。
その時期に一度母国を飛び出してタイで名をなしで母国でもビジネスを立ち上げているケースが目立つ。
そういう意味ではタイの周辺国のこれからの富裕層マーケットはタイ在住富裕層にかかっているところが大きい。
2:富裕層が富裕層ビジネスを始めやすい環境
タイはバンコクはもちろんのこと、パタヤ、ホアヒン、サムイ、プーケットなどいわゆるリゾート地としてその名をとどろかせている地域が数多い。
タイの富裕層がより富裕化していく過程において欠かせない(あるいは欠かせなかった)要素が不動産投資だ。
といってもビルやアパートでなく、いわゆるホテル。
観光客を呼び寄せる地力に勝るため、とても収益化しやすいのだそうだ。
しかも我々が考えるよりも土地の取得価格は安く済み建設コストももちろん安い。
だが、、、、、、、、宿泊コストは高い!
安く仕入れて高く売る構造が勝手に出来上がっているといってもいいだろう。
そして、、、、、、数年後にはその土地の値段も跳ね上がっている、という構造。
ここだけみれば戦後日本の不動産神話に近いが、前述のインカムゲインだけ考えてもプロフィタブルなビジネスにできるのがタイ観光地のインフラに富裕層マネーを呼び寄せている大きな理由だ。
もちろん、顧客も富裕層狙い。
自分がこうされたい、という思いを実現させるホテルだから、それはウケもよくなるはずだ。
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