政府は住宅購入者に課している印紙税の率を、価格が100万Sドル(約8,300万円)超の物件については、予算案発表翌日の2月20日付で3%から4%に引き上げたが、資産運用センターであるシンガポールの評価を損なわない巧妙な「富裕税」と税の専門家はみている。
シンガポールに資産売却所得税はなく、また政府は2008年に遺産税を廃止。富裕層が資産をシンガポールに持ち込むことを奨励し、シンガポールを資産運用センターに育て上げた。
このため、贈与税や相続税といった直接的富裕税の導入は政府方針と相いれない。ヘン・スイーキアット財務相は予算案読み上げで、購入者印紙税(BSD)を引き上げる理由として「税の累進性を強化するため」と述べた。専門家は、BSD引き上げは富裕税とみなされる可能性のある新税導入を伴わない、累進性維持の意思表示と指摘した。
クッシュマン&ウェイクフィールドのアナリストは「100万ドルという金額は、高すぎず、低すぎず、絶妙の分岐点」とコメントした。
コンドミニアムを中心に、昨年売買された住宅の3分の2は100万Sドル超。全体の平均価格は120万Sドル(約9,749万円)。税率変更で購入者の印紙税負担は1%増えるが、KPMGは、住宅購入熱を冷ます結果にはならないと予想している。
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